国際スポーツは文化の理解から

長野で開かれているスペシャルオリンピックスがもうすぐ閉会式を迎える。田中康夫長野県知事スペシャルオリンピックスを「誰にでも開かれた社会」と位置づけ、知事が「脱ダム宣言」から目指している長野県政に合致すると表明している。知事はさらに「数字至上主義」「効率至上主義」「物質至上主義」を批判し、「人間として大切なことに気づかせてくれる」大会であると付け加えていた。
 こういう大会が開かれることはいいことだと思う。だからこそ大会関係者にはその理念の共有が求められる。
 だが、大会でイスラム圏選手団から強い抗議と反発が上がっているようだ。イスラム教信者が豚肉関係を食べないのは常識だろう。少なくとも教育県をうたう長野県で国際競技を主催する関係者が知らないはずがない。
 ではなぜ何度も豚肉を使った料理が出され、抗議しても改善されないのか。「選手団側によると、個別に抗議をしてもなかなか改善されなかった」ようだし、「除外する食材など細かな条件は告げず洋食を200食とだけ注文」してハムサンドとソーセージをわざわざ提供したそうだ。さらに「昼食のミートソースに豚肉が使われた」、「製パン業者が焼いたパンの中にウインナソーセージ」が入っていたなどイスラム関係者からすれば故意とも思える連発だ。
 運営団体であるSONAは、献立は昨年夏から昨年暮れまで検討して決定し、SOI(本部・米ワシントン)にも伝えたが異論はなかったという受け答え。一体何を検討し何を伝えたのだろう?
 SONAの宮本競技会場運営部長は「イスラム圏の選手団からの苦情を重要な問題ととらえていなかった」と受け答え。国際感覚がなく、外国の文化に理解を示さない団体は国際大会を主催すべきではないと思う。無知では済まされない。
 教育県であるはずの長野県の今後を見守りたい。